コンクリートの歴史
コンクリートの歴史は古く、これを発明したのはローマ人といわれており、
橋や水道橋をつくるにあたっても、使用していたようです。
セメントを発明したのはローマ人です。
ローマ人は、石灰岩を焼いてつくった石灰に砂を練り合わせたモルタルをつくりました。
さらに、このモルタルにポッゾラーナ(ナポリ近郊のポッツォリに産する良質の火山灰)を加えると
硬度と水密性が良くなることを発見しました。現在のセメントです。
彼らは、それに砂利を混ぜて、カエメントウムとして、道路・水路・浴場をつくるのに利用します。
それが、現在のコンクリートです。なお、5000年前の中国でもセメントは用いられています。
しかし、コンクリートが構造物の建設に本格的に使用されるようになったのは近代になってからです。
18世紀になって、現代のセメントと同じ、ポルトランドセメントが発明され、
セメント工場がヨーロッパ各地で建設されるようになり、コンクリートは急速に普及しました
コンクリートの橋
鉄筋を入れないコンクリートだけの橋は、引張りの力に弱く、
初めの頃は、中央桁間(桁間の距離)は数メートルだったようです。
しかし、コンクリートは石の代わりにアーチ橋で使われ、1900年の初め頃までさかんにコンクリート橋が建設されました。
1906年にドイツのケンプテン(ミュンヘンの約西方100km)近くのイラー川にかけられた鉄道橋は、
鉄筋を使わないコンクリートアーチ橋で中央桁間は64mだったそうです。
鉄筋コンクリート橋の登場
19世紀後半に鉄筋コンクリートが発明され、それを使った橋も建設されます。
コンクリートの中に鉄筋を埋め込むことによって、圧縮には強いが、引張りに弱いコンクリートの弱点が克服されたのです。
1875年にフランスで最初に架けられた鉄筋コンクリートの橋は、長さ16m、幅4mでした。
また、1890年にはドイツのベレーメンで開催された北ドイツ勧業博覧会では、
中央桁間40mの鉄筋コンクリート橋が架けられています。
グロースメン近くのドナウ川にかけられた鉄筋コンクリート桁橋、いわゆるゲルバー桁橋は、
三つの開口部を持ち、中央の中央桁間は61.5m。
当時、プレートガーダー式の鉄筋コンクリート橋としては世界最大のものだったそうです。
この橋は1945年に破壊されます。
日本のコンクリート橋の始まり
明治維新を終えた日本でも、コンクリートの導入は早く、1875年(明治8年)工部省深川製作寮出張所で初めて、
ポルトランドセメントの焼成に成功しています。
ヨーロッパでセメントの焼成工場ができて、およそ30年後のことです。
最初のコンクリート橋は、1903年(明治36年)鉄骨コンクリートによるものといわれています。
1909年(明治42年)には鉄筋コンクリートの橋も架けられています。